17時30分を過ぎた頃、真っ白いワンピースを身にまとったタタは8人のダンサーを従えてステージに登場。1曲目「I Believe」を歌い始めると会場中で大きな歓声が上がり、それを受けるように、タタは激しいダンスに体をくねらせながら歌う。続いてアルバム『I BELIEVE』の1曲目を飾る「Everybody Doesn’t」をたたみかけ、ノリの良いダンス・ナンバーを2曲続けて披露したところで、「ありがとうごいざいます。こんばんはー! タタ・ヤンです。I feel so good!!」と日本語と英語を織り交ぜてあいさつ。するとファンから「タタ、かわいいー!」との声援があちこちから飛ぶ。会場の中にはタタの故郷、タイの国旗を振るファンの姿もいて、それを見つけた彼女は「タイのフラッグが見える! すごくうれしい。サワディーカー、コップンカー」と、とてもうれしそうな様子。
中盤では真っ白なワンピースから一転、黒のキャミに黒のパンツ姿というセクシーなスタイルにチェンジし、ロック調のナンバー「Cinderella」「My World’s Spinning」へと流れていく。男性ダンサーとセクシーなダンスを踊る姿がとても妖艶だった。その後、「タイの歌聴きたい?」とオーディエンスに問いかけると会場からは「聴きたーい!!」の声。「この曲は私も作詞に参加した曲なの。2人の男の子を振り回すワガママな女の子の曲です」といって、「I Need The Both of You」を披露。タイ語の曲でもっとも人気があるというメロディの美しいバラード・ナンバーだ。実は昨年、母親を亡くしたタタ。「亡き母に捧げ、ここにいるみんなのために歌います」と言って歌い始めたのは「I Think of You」。キャッチーなダンス・ナンバーのタタも良いが、しっとりとしたバラード曲での彼女の声の張りと伸びは素晴らしい。
シリアスになったムードを一転して大爆笑の渦に巻き込んだのは、タタのギャグ。突然「日本のギャグを3つ知ってるの。1つ目は“残念!”。2つ目は“問題ない”。3つ目は“どこ見てんのよっ!”」と言い出したタタ。大ウケの会場に答えるように胸元を隠す仕草をしつつ再び「“どこ見てんのよっ!”」とおどける彼女はとてもかわいらしかった。ラストはもちろん「Sexy,Naughty,Bitchy」を熱唱。熱狂の中、ステージを降りた。
鳴りやまない拍手に応え、アンコールに登場したタタは目の醒めるような真っ赤なキャミワンピース姿。そしてライブ1曲目に歌った「I Believe」を日本語ヴァージョンで披露。ラストはインド風のサウンドが印象的な「Dhoom Dhoom」を歌いきり、「愛しているよ! 必ずまた日本に戻ってくるわ!」と言って笑顔でステージを去っていった。
ライブ終了後の会場からは「タタ・ヤン最高」「すごくかわいかった。歌もすごいうまい!」「またライブが見たい」という声があちこちから聞こえてきた。異国の地でのツアーで、観客の心をがっちりロックしたタタ・ヤン。そんな彼女がアジア圏のみならず、世界のポップ・アイコンとなる日もそう遠くないかもしれない。
TEXT:Chinami Hirahara Photo:Yayoi Hori