ウィスット・ポンニミット

よしもとばななの単行本『なんくるない』の表紙イラストを手がけたり、雑誌連載を持ったり、個展やライブをやったりと、日本でもクリエイティブな活動を展開中のウィスット・ポンニミット。
DVD『hesheit』の発売記念イベントが、渋谷アップリンクファクトリーで開かれた。その模様をレポート！

DVD『hesheit』発売記念イベント

6月19日・アップリンクファクトリー

音と映像の見事な融合
シュールなのに感動的な映像世界に観客一同釘付けに！

　バンコク出身で現在は日本在住のマンガ家、ウィスット・ポンニミット。タイのマンガなんて全く想像もつかなかったし、タイにもマンガ家が存在していることさえ軽く驚くくらいだったが、彼の描くマンガは日本の日常にも普通に“あるある～”っていう場面も多く、スーっと作品の世界に入っていくことができる。良い意味で今までのタイのイメージを覆すニューウェーブな作風が、高感度な人たちの間で話題になっているのも興味深い点で、やはり作品がおもしろければ国境なんてまったく関係なんだな～なんてことを改めて感じた。そんな彼の代表作『hesheit』を映像化した待望のDVD発売記念イベントには、彼が描くシュールかつハートウォーミングな世界のファンたちが多く集まった。立ち見の人も出るくらいの盛況っぷりに、彼への注目度の高さをうかがうことができた。

　イベントはまずゲストのDJ codomoのライブパフォーマンスからスタート。コーネリアスのリミックスをこなしたり、バッファロードーターのムーグ山本氏とユニットを組んだりと幅広い活動をこなす彼のライブも、ウィスットさんの描くマンガと同様、どことなくシュール。パソコンやミキサーで作る出す様々な電子音に合わせて、彼自身が旅先で撮影してきた様々な風景や、迷い犬・猫の貼り紙だけを集めた写真、いろんな手を集めた写真などがスピーディーに展開していく。時にチープ、時に近未来的な印象のサウンドと画像が相まって、どこか違う次元へトリップしてしまいそうな、不思議な感覚に陥ってしまった。

オフィシャルサイト
TUM WEB
http://soimusic.com/wisut/

　次はいよいよ映像化された『hesheit』のDVDの上映。『hesheit』に掲載されていた作品に中でも特に強烈な印象を残す『シュウマイ』『犬』『服を着てみる』『スター』『彗星』が上映されたが、登場人物に色彩と声が加わったことでさらに躍動感が増し、キャラクターの心情や世界観に一気に引きつけられてしまった。

　そして休憩を挟んだあとは、ついにウィスットさんが登場し、彼自身によるライブパフォーマンス付き上映会に。一体どんなパフォーマンスをするのだろうと思っていたら、スクリーンに映し出された映像に合わせて、ウィスットさん自身がキーボードを弾いていくというスタイルのライブだった。上映された作品は『貯金箱』『部屋』『車』『電気』などで、キャラクターの心の動きや場面展開に合わせてウィスットさんの演奏する曲が物語をさらにドラマチックに盛り上げていく。映像と楽曲の見事な融合には、本当に感動してしまった。しかも、１話上映が終わるごとに、１曲弾き終えるごとに、ウィスットさん自身も笑顔で観客と一緒に拍手をしていたのが印象的で、“イイ人”な彼の人柄がよーくにじみ出ていた。ライブ終了後もファンたちに囲まれてサインを書き続けていたウィスットさんは、周りを暖かくするような不思議な魅力にあふれている人だった。

　本国タイでは文学者から中学生まで幅広い層から支持を得ているというウィスットさん。彼の不思議な魅力がたっぷり詰まった作品にまだ触れていない人は、ぜひ今すぐチェックしてみてほしい。

↑ほぼ即興で演奏しているという音楽と映像との融合は本当に見事！　のひと言。それにしてもピアノの腕も素晴らしかった！

↑会場をびっしりと埋め尽くしたファンたち。最前列にはクッションも用意されていて、ここに座れた人じゃウィスットさんのライブを間近で見られました。

↑ゲストのDJ codomoのライブパフォーマンス。ミキサーとギターを使い、様々な電子音を奏でた。映像との融合もおもしろかった

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音と映像の見事な融合 シュールなのに感動的な映像世界に観客一同釘付けに！

音と映像の見事な融合
シュールなのに感動的な映像世界に観客一同釘付けに！