1月、新年、新春とくれば、日本人なら初詣と連想するはずだ。真の新年が4月13日にあるタイ人にとって西暦1月1日の元旦はカウントダウンで一気に盛り上がって突入する華やかなイベントの日だが、日本人は冷たい冬の空気の中、厳粛にすごすのが基本である。 しかし、タイは熱帯の国。同じ北半球に属するとはいえ、日本と同じ環境は望めない。新年のあの空気は日本でしか味わえないのか……と残念がるのは少し早い。この国でも近い気分になることは可能なのだ。 タイで日本の新春気分を味わえるのが北部の県だ。タイの乾期は、実は“寒期”と呼ばれるくらい気温が下がる。12月から1月にかけての北タイは、ここが熱帯に属しているのが嘘のように寒くなるのである。 チェンマイを中心とした北部の県やイサーンの北側では、驚くことに最低気温が氷点下付近にまで下がることがある。路傍の水たまりに薄氷が張ったり、田んぼのあぜ道に霜柱が立ったりと、南国タイとは思えない光景を目にすることができるのがこの時期なのだ。 寒さを感じるほどの気候はある。あとは厳かな気分になれる寺社仏閣があればいい。となれば由緒ある寺院が集中するチェンマイは、乾期のいまこそ訪れたい街と言えるだろう。
文化と伝統の中にひたりたいなら、ホテル選びにも気を使いたい。今回の宿となったのは、旧市街の入口ターペー門にほど近いデ・ナガ・チェンマイだ。 オープンして間もないが、北タイの伝統的建築物をモチーフに、すべてのデザインが決定されている。木材や工芸品が多用され、宿泊客の心を静かに落ち着かせてくれるこのホテルは、古来から伝わるもてなしの心を目の前に広げて見せてくれる。 伝統ある寺院を拝観し、伝統を継承したホテルで休む。朝から晩まで、外にいても中にいても、北タイのよさを感じられる至福……。 寒期の北タイは、日本人の感性に合っている。