タイ王国の首都バンコクの東、都心から車で1時間ほど走ったところにもうひとつのタイ王国がある。それがムアン・ボラーンだ。ムアン・ボラーン(英語では Ancient City)とはタイ語で「古都」の意味。郊外のひなびた大地にタイ国内の遺跡や遺構が再現されているのである。その数、実に100以上。しかも、いつもどこかが工事中で、常に“新しい”遺跡が造られているのだ。
しかし、何度も来ても思うのは、「本物は決して越えられない」という事実である。建築物は立派だし、民営でここまで築きあげた熱意には感服するしかない。それでも本物はこの園内の建築物のどれよりも大きく、立派で、細工も念入りだ。現代の高い技術と生産力をもってしても数百年前の芸術を越えることができないのである。あるいは歴代の国王と権力者の力を越えることは個人ではできないということかもしれない。 ここは三つの頭を持つ巨大なエラワン象で有名なエラワン・ミュージアムと同じ経営になっている。近郊の新名所となっている同博物館はバンコクからムアン・ボラーンに行く途中の道沿いにあるので、行き帰りにでもぜひ訪れてみてほしい。