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観光 | 遺跡・寺 | バーン・タコのムアン・タム遺跡
バーン・タコのムアン・タム遺跡
   
立派に修復された本殿とナーガ像 規模は小さいが重厚な造り
立派に修復された本殿とナーガ像 規模は小さいが重厚な造り
     
細部の装飾も見事に復元されている
細部の装飾も見事に復元されている
敷地の中では
敷地の中では
地元の人たちによる祭礼が行われていた
祠堂の中央にはシバ神のリンガが奉られている
祠堂の中央にはシバ神のリンガが奉られている
   
クメール神殿には欠かせない池も立派だ
クメール神殿には欠かせない池も立派だ
遺跡の歴史を学べる
遺跡の歴史を学べる
インフォメーションセンターを併設
     
 
   

タイ東北地方イサーンの南部、カンボジアと国境を接する一帯には有名なアンコール・ワットを中心に据え15世紀ごろまで栄えたクメール王朝が遺した遺跡が点在している。規模の大きさで知られているのはブリーラム県にあるカオ・パノム・ルン遺跡で訪れる観光客も多いが、そのすぐそばにある遺跡にまで足を延ばす人は少ない。そこに遺跡があるのは知っていても、壮大なカオ・パノム・ルン遺跡を見て「もう満足」となってしまい、立ち寄る気力がなくなってしまうのだ。
  交通の便の悪さはたしかにある。しかし、せっかくそこまで来たのなら、ぜひ訪れてみてほしい。それがこのムアン・タム遺跡である。
 

 
王朝文化を色濃く反映した造り
 ムアン・タムは11世紀ごろに建てられた神殿の跡らしい。仏教ではなく初期のクメール王朝で信仰されていたヒンドゥー教/バラモン教の神殿である。ここからクメール王国の首都であったアンコールまでは直線距離で南東約200キロ。ピマーイは北西約90キロだ。その道中には多数の神殿、施療院、宿泊所があり、形の残っているものは遺跡として修復・保存されている。ムアン・タムとは「低い町」の意味だが、すぐ横にあるカオ・パノム・ルン遺跡がイサーンでは珍しく高い山の上にあるのでそう呼ばれたのかもしれない。
 
敷地の中は手入れが行き届き、芝生風に草が植えられ公園のようだ。遺跡は小さいものの美しく、修復状態も良好で、クメール王朝興隆期の雰囲気を濃厚に伝えてくれる。修復の見事さではナコーン・ラーチャシーマーにあるピマーイ遺跡も立派だが、美しさならこのムアン・タム遺跡も負けてはいない。
 

クメール王朝との重要な接点

 中央の仏塔は崩壊しているが、周囲の4基の仏塔はうまく修復されている。それらを取り囲む回廊の復元具合もなかなか見事だ。この遺跡の軸となる仏塔群は古代インドの宗教世界で考えられていた宇宙の中心スメール山(須弥山)を再現している。これは多くのクメール遺跡に共通した思想で、アンコール・ワットがそうであるし、タイであればバンコクのワット・アルンの仏塔がこの思想の元に造られている。
  遺跡の規模は大きくない。しかし、細工は細かくていねいで、造りもしっかりしている。イサーンに行ってピマーイ遺跡を見学し、カオ・パノム・ルン遺跡にも立ち寄ったなら、このムアン・タム遺跡も忘れず足を延ばしてほしい。ここはクメール文化とタイ文化を結ぶ線上にある、非常に重要な遺跡なのである。

 
   
県名 ブリーラム
行き方
  バンコクまたはナコーン・ラーチャシーマーからスリン、ウボン・ラーチャターニー方面に向かうバスに乗り、バーン・タコで降りる。最も近くの町はナーン・ロンだが、泊まるなら北のブリーラムのほうが便利。
ムアン・タム遺跡は有名なカオ・パノム・ルン遺跡の南東にあり、通常は同遺跡とセットにして見学する。交通の便は非常に悪いので、バーン・タコのバス停周辺で待機しているソンテウやバイクタクシーをチャーターして往復する。