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  クラビーのロングビーチ  


サファリ・ワールド 鳥と遊んだり、遊ばれたり
ビーチの砂はきめが細かく、真っ黒だ
サファリ・ワールド 特設展望台でキリンに餌付け
住民はムスリムがほとんど

観光客の知らないビーチ
 タイ南部クラビー県は美しいビーチが多いことで知られている。特に有名なのは、沖合いに浮かんだピーピー島を代表とするアンダマン海上の島々だ。そこには輝く白砂のビーチがあり、世界中から多くの旅行者を集め、魅了している。
  しかし、クラビーのビーチはそれだけではない。海を渡らない大陸側にも美しいビーチはたくさんある。しかも、まだあまり人には知られていないビーチが。
  それは、たとえばロングビーチと呼ばれている。タイ語でハート・ヤーオ。直訳すると、その名のとおりの「長い浜」だ。
  ビーチは実際にとても長い。総延長は約7キロで、障害物がないので端から端まできれいに見渡すことができる。ここはタイのビーチにしては珍しく、まだ開発の手がおよんでいないのだ。そのため長大なビーチにかかわらず、人の姿がほとんどない。ほぼまったく無人の状態で、ときに不気味に感じるほどだ。
  ビーチサイドの土地はすでに買収済みだから、いずれホテルが建ち並ぶのだろう。しかし、あとは数年はこのままの景色が眺められるはずだ。人がいない未開のビーチ……それは国土全体が味気なく改造されているいまのタイでは非常に貴重なのである。

やや趣の変わったビーチ
 いまひとつ開発の手が遅いのは、このビーチのやや変わった特徴にあるのかもしれない。
  まず、海は超が付くほどの遠浅で、どこまで行っても深くならない。つまり、気軽に泳ごうと思っても泳げないのだ。
  次に、ビーチの砂が真っ黒だ。普通、南国の海と言われると、頭に浮かぶのは青い海と白い砂だが、ここロングビーチは黒砂なのだ。神奈川から静岡にかけての砂浜に慣れた人には懐かしいかもしれないが、勝手なイメージを持っていると面食らってしまう。
  砂のキメは細かく、しっかり詰まっていて、車どころかバイクでも走ることができる。もしも乗りものを持っていたら、波打ち際を爽快に、誰にも邪魔されることなく走り抜けることができるだろう。
  未開発なのはビーチサイドだけでなく、ここまでのアクセスも同じである。クラビーの繁華街や空港とダイレクトに結ぶ公共の交通機関はなく、何度も乗り継ぐか、タクシーを使うしかない。それらを利用したとしても空港からは約30キロ、クラビーの中心街からは約40キロも離れている。
  正直に言えば不便である。それでも、いましか見られないこの風景は貴重なものだ。もしもクラビーに行ったなら、ドライブがてら出かけてみるといいだろう。

クラビー
県名 クラビー
行き方
バンコクからエアコンバスで12〜13時間で到着。スワンナプーム国際空港からクラビー空港までの空路は約1時間半。ロングビーチまではタクシーなどで行く。

*内容については取材当時のデータとなりますのでご了承ください。